時事コラムを中心に、社会評論エッセイや名言・格言・諺の解説を掲載

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原野辰三の社会評論エッセイ

祇園精舎の鐘の声

日本型資本主義

会社は誰のものか、会社は株主のものだ。これは世界の常識。フジでは経営者のもの。株主なんぞ、眼中に無いのではないか。8000万株の“毒”を注入するというのだから、株主無視は明らかである。

このようなことはフジに限らず、日本では依然としてこの傾向が根強く、日本独特の資本主義になっている。これは世界に通用しない。

たとえば、監査役の問題を取り上げても、日本企業の監査役は、あくまでもお飾り。商法上はそれなりに、権限が明記されているが、所詮、その会社の雇われ者で、その会社で禄を食んでいる役職なのだ。

一時、監査役権限を強化すべしと、商法を改正したり、また、株主代表訴訟制度をつくったりしたが、すべて

仏作って魂いれず

である。

株主総会をみれば、すべて、しゃんしゃん総会。万全の事前対策を社をあげて行い、社員株主が社の命令で召集され、事前にシナリオがつくられ、それを社員が演ずる。社員はいわば、役者になる。担当役員が監督を務め、総指揮をとる。

本番前の練習は念入りに行われる。当日の観客は会社の全重役だから、社員は一層はりきる。一般株主は質問の機会も時間も殆ど与えられない。一般株主が批判的な質問をすると、そこで登場するのが、総会屋。

総会屋については、現在は一応、警視庁が取り締まりを強化しているとはいえ、依然として見逃せない存在になっている。

総会が無事終わると、「今回は2時間で終わった。良かったよかった。皆さんご苦労さん」となる。時間の長短は総務部長の手腕だ。

総会屋との付き合いは総務部長の仕事。グローバル化、国際化と掛け声はよい。だが、その実、内向きの閉鎖的封建制からの脱皮ができていないのが、日本株式会社の実体である。

証券市場で改革の柱の一つになったのが、株の持ち合い。すなわち上場企業同士が互いに株を持ち合い、各社が大口株主を形成すること。

海外から非難をうけた。

その最大の株主は銀行。銀行はバブルの後処理の為に、かなり売却したものの、依然として大口株主である。

日本型資本主義は大企業同士による株の持ち合いで、ひとつの村社会をつくっている。

言い換えると、財界村である。財界村の村長が、いま、奥田トヨタ会長だ。

以前、ライブドアの堀江社長がプロ野球の近鉄買収に名乗り出た。そのとき、読売巨人の渡辺オーナーは、「ライブドアなんて、ぼくは知らない。知らない人が入ってくるのは困る」といった。

佐高 信氏の言葉を借りれば、「一見(いちげん)さん、お断り」なのだ。

日本プロ野球協会は、どこかの、バーか、スナックか、クラブか。

財界村からすれば、堀江はよそ者なのだ。よそ者は入れてやらんというわけだ。子供同士の仲間外し、仲間はずれなら、許せるが、大の大人がこんな子供じみたことで騒いでいる。

「仲間に入れてやる、やらない」は日本社会ではどこにでもある。

海外から見れば「なんて、日本人は主体性のない大人になっていない子供なのか」と思われているのだ。

日本を占領統治した、マッカーサーは、

日本人は12歳

といって有名だが、今その言葉を思い出す。

こんな、村社会が“談合”という日本特有の悪しき風習をつくったのだ。

いつまでたっても日本人は「赤信号、みんなで渡れば、恐くない」(ビート・たけし)、「弱いものほど徒党を組み、いったん集団化すれば、日頃の弱虫が、急に強くなる」

いずれにしても、日本人は世界のなかで、稀に見る自我が確立できていない国民である。

この度のライブドアがニッポン放送株41%保有問題も、政界、財界はいろいろ理屈を並び立てているが、煎じ詰めれば、子供じみた「財界村の仲間に入れてやらん」ということなのだ。

森前首相時代、it革命のラッパを吹きまくった。ライブドアはそのit産業の担い手の一人である。その新進気鋭の若き堀江を守旧派の老人たちが“いじめ”ているのだ。

森前首相は「金さえあれば、何をやってもいい、という最近の若者の風潮はいかがなものか」と堀江を批判した。

口を開けば、「今の若者は・・・」というが、その責任は政官財の薄汚い老人どもにある。

若者の、やる気、斬新な発想、情熱を暖かく見守り、育てていくことは先輩老人に残された責任ではないか。それをよってたかっていじめる日本老人に失望する。

新しいものは旧いものの敵である。したがって、新時代はいつも旧時代から犯罪視される。

(フレデリック・ヴァン・シラー ドイツの詩人・戯曲家)

また

子供の教育は過去の価値の伝達にはなく、未来の新しい価値の創造にある。

と米教育学者のJ.デューイが言っている。

堀江社長は放送メディアとインターネットを統合した新しいマスメディアを創造したいといっている。このことは堀江だけではなく、既存の放送界もit業者も異口同音にみんなが模索をしていることだ。

やらせてみてはどうか。若者に。それで失敗しても日本が潰れることはない。

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