原野辰三の社会評論エッセイ
地球政府樹立を提言する
CO2マネー
さて、「資本」とは何?だろうか。
私の定義は<資本とは「差」の「利」を追求するためのマネー>である。
元来は、生産するために、そして生産物を流通させるために投じられるマネーであったが、経済の金融化によって、マネーそのもを増殖するために投じられるマネーが資本になった。
それをもう少し説明すると、こういうことだ。原油高騰問題になっているが、その例で説明しよう。
現在世界の石油取引の大部分は、アトランタに本社を置く米国の巨大企業複合体が運営するNYMEX(ナイメックス、ニューヨーク商品取引市場やIPE(ロンドン国際石油取引所)で行われており、そこでの取引にはドルが使われている。
一見、石油そのものが取引されているかのように思うが実際はそうではない。
つまり、売買している人は、その石油を使用する人とは何ら関係のない人たちであり、そういう人たちが「買った、売った」とやっている。すなわち相場師の集まりなのだ。
これが現代の資本主義、いわゆる経済の金融化時代であり、何十何百兆円ものマネーが蠢くグローバリゼーションの実態なのだ。
もっと凄いことが今始まっている。CO2市場である。
私事だが、私は朝日新聞の「声」の欄に投稿している。一昨年とその前年は一度づつ計2回採用され掲載された。
毎年一回は採用され掲載されることを目標にして投稿を重ねてきたが、残念ながら昨年は空振りに終わった。
その昨年の何度かの投稿の中に次の「声」を投稿した。
【CO2排出量取引に疑問】
11月26日(月)朝日新聞一面トップ「日本、CO2排出枠購入」の見出しに
「あれっ?」と思った。
「政府は、地球温暖化を防止するための京都議定書で約束した目標達成に向け、ハンガリー政府から、温室効果ガスの排出枠を買うことを決めた。
ハンガリーで温室効果ガスの排出が減った分を、日本で減らしたことにできる」という記事だ。そして200億円で枠を買うという。
朝日新聞は「削減努力、鈍る恐れ」と解説を加えた。まさにその通りだと思う。
他方、大手商社の「丸紅」が1万トン分の排出枠を電力会社に売却したというNHKの放送の中で「排出量取引は、先進国に温室効果ガスの削減を義務づけた京都議定書の目標達成に向けた有効な手段の一つとされており、
今回の売買が普及のきっかけになることも期待されます」とコメントしている。「期待されます」とは納得がいかない。
地球環境はボーダレスの問題であり、国家間であれ企業間であれ、排出量の取引は排出量の総量を減したことにはならないことは言うまでもない。
排出枠を買うために巨額の資金を拠出するのなら,その資金を地球環境改善のために創意工夫を凝らして開発している企業に対して資金援助するべきではないか。
上記の投稿は残念ながら採用されなかった。
朝日新聞は今年の元旦から「環境元年」という特集の連載を開始した。
1月3日第一部 エコ・ウオーズで「CO2マネー市場席巻」という見出しで、CO2取引について書いている。
そこから抜粋してみる。
- 二酸化炭素(CO2)に値段がつき、株のように取引される。・・・欧州で取引の初日となった2日の初値は、1トンあたり22.5ユーロ(3,700円)だった。
- ロンドンの一角に排出権ブローカー「カンターCO2e」のディーリングルームには排出権価格が表示されている。ネットや電話で千トン単位で注文が入る。一日数百万トンが売り買いされ、数億ユーロが動く。
- ヘッジファンドや中東のオイルマネー。排出権取引市場には世界中の資金が流れ込み、ディーラーやブローカーが金融工学を駆使して運用する。EU市場での価格は当初の3倍に高騰している。
- 米国、豪州、シンガポールなどでも排出権取引市場の導入が進む。全体の市場規模はEUを中心に06年には300億ドルを超え、さらに07年は倍増したとみられる。
- 地球環境に与える負荷がCO2価格に反映され、金融、企業、政策を動かす。それがまた価格にはね返る。
- ジャパンマネーの行方が注目される。・・・日本の排出権需要が10億トンになる可能性がある。
(参考:10億トンのCO2排出する権利を購入する価格は3兆7千億円=筆者)
派出権取引で地球上に排出されるCO2総量が減るとは到底考えられない。
巨大なマネーをもつ資本家に金儲けのチャンスを与えてやり喜ばせるだけで、むしろ国民市民は高い負担を強いられるだけであろう。
地球上に生きる人間とは、こんなにも愚かな動物なのだ。







