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時事コラムを中心に、社会評論エッセイや名言・格言・諺の解説を掲載

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原野辰三の社会評論エッセイ

人間性利説

経済の金融化

「自由な競争原理が社会を進歩発展させる原動力になり、人は豊かになり、幸福になる」とは、資本主義経済文明擁護論者の主張だ。そして社会主義が崩壊したのは、その自由な競争原理が働かないから豊かにならずダメになったという。

果たして、本当にそうなのだろうか。

自由だ!機会均等だ!さあーみんな頑張れ!と大声出して発破を掛けても、所詮は強い者がより強く、弱い者はより弱く、最初から勝敗は決まっている。

ジェット機をもつ者と持たない者がスピードを競ってるようなものだ。

また、柔道でいえば60キロ級のチャンピヨン野村忠宏選手が100キロ超級の選手とが試合をするようなもので、いくら野村が努力し技を磨いても勝負にならないのだ。

資本主義経済社会はそういう社会で、強い者とは資本がすべてであり、資本力のあるものが勝つ仕組みになっている。それが資本の論理というものである。

無産の民が資本家に勝てるはずがない。

資本主義経済社会で言うところの「自由」とは「資本の自由」にほかならない。

逆にいえば、無産の民にとっては「資本家への服従」であり、それは「不自由」を意味する。資本主義の「自由」とはそういう自由なのだ。

こう言うと必ず「では、ビルゲイツはどうだ、自由競争だから成功したのだ」と。稀なる立志伝の例を挙げて反論するヤツがいる。

しかし、自由の国アメリカでは僅か3%の人がアメリカ全体の90%の富を独占し、また3000万人が貧困に喘ぎ、1200万人がボランティアの給食で生きているのだ。

これがアメリカ資本主義の国、自由競争の国、機会均等の国の現実である。

そして、今日ではマネー(金融資本)の独壇場である。マネーが世界中を駆け巡り、「利」を自由自在に貪って(むさぼって)いる。

マルクスは「資本主義が高度になるにつれ、資本の独占が進み、資本が寡占化され、金融資本主義になり帝国主義になる」と言ったが、まさにその通りになった。

「マルクス」という名前を聞いただけでアレルギーになる人も多いだろう。

それならば、2007年上期ベストセラー(経済書)になった「人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか」(水野和夫著=三菱UFJ証券チーフエコノミスト)を購読されたらいいでしょう。そこにはグローバル経済は帝國化・金融化・二極化が猛スピードで席巻していると書いている。

本来、経済活動のために資本は産業に投資され利潤を得るのだが、今日では経済の金融化が深耕し、資本そのもを売買する異様な社会になった。

つまり、企業が売買の対象にされ、債権や物権が証券化され、金融が商品化され、それらの利食いを求めて独占資本(マネー)が際限なく無軌道に自由自在に食い荒らしていく。自由競争だから誰もこれを止めることができない。

今、原油相場が鰻上りに値上がりして1バレルがなんと100ドルにまで跳ね上がった。

この値上がりは需要と供給の関係ではない。サブプライムローンから引き上げられたマネーが石油相場に目をつけて投機的に買いあさった結果である。

原油価格の値上がりは世界中に悪影響を及ぼして経済に大きな打撃を与えている。

しかし、巨大なマネーを持ち動かす彼等にとっては意に介しない。儲かれば何でもいいのである。

これがマネーの本性である。マネーは国境を越えて何処へでも行く。これが新自由主義のグーバリゼーションである。

強い者は益々強く、弱い者は益々弱く、格差は広がる一方で、富は集中に集中を重ね、独占マネーは巨大化し、弱者を大量に生んでいく。

マルクスが約200年前に予見したことが現実のことになったのである。

資本主義経済社会システムという基本ソフト(OS)上で全世界が動いているのだから、マネーの独壇場をコントロールするには、これまでのOSを変える以外に道はない。


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