時事コラムを中心に、社会評論エッセイや名言・格言・諺の解説を掲載

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原野辰三の社会評論エッセイ

狼少女 カマラとアマラ

テレビ文明がもたらしたこと

人間は社会環境の影響下で生きており、その社会環境はどんどん変化する。そこでわたしは“テレビ“時代到来後の社会環境について考えてみることにした。

1957年大宅壮一氏(ジャーナリスト・評論家)が「日本は一億総白痴化する」といって一大センセーションを巻き起こした。

今からもう約50年も前である。とにかく一億総白痴化の中身より、言葉だけが有名になり、一人歩きしてしまった。

わが国でテレビ放映が始まったのは1953年だから、4年後のことである。大宅壮一氏は早くからテレビについて、番組の低俗性に加え、テレビが人から思索の時間を奪い、一億総白痴化すると警告したのだ。

いずれにしても大宅荘一氏のこの予言は的中した、と私は考えている。

つまり、ここ半世紀で人はマスメディアにミスリードされ、思索に費やす時間をテレビに席巻されたことは間違いない。今日の日本を観ていると私はそう思えてならない。

科学技術文明の発達は両刃の剣と言う。日本の現状をみると、テレビの「功罪」については、罪が目立つ。しかし、テレビ文明そのものを罪と言っているわけではない。

それは受けて側のチャンネル選択の問題である。他方、送り手側に問題はないかといえば大いにある。

とくに昨今の番組表をみていると観るものがない。バラエティとか、芸能人の噂話とか、どこをひねっても碌な番組をやっていない。

では、どっちが悪いかといえば「鶏が先か、卵が先」かの議論になりそうである。

大宅壮一氏はテレビの低俗番組による一億総白痴化を懸念した。

ところで、その逆、すなわち「大衆の総白痴化」を目論んだ世界支配政策があった。

それはユダヤの秘密結社「フリーメーソン」の3s政策である。3sとはsport,screen,sexの三つのsである。

3s政策とは、「スポーツや映画(テレビ)やセックス等の興味や刺激を常に与え、じっくりと物事を考えさせない」ようにしておけば、為政者は自分の思うとおりに支配できる、と企図した政策である。

目先の欲を刺激して人を翻弄し、文化を頽廃させ、人から思索の時間を奪い取れば、大衆は政治意識、社会意識が希薄になる。そうしておいて大衆をコントロールする策略だ。

ひょっとしたら、マッカサーは日本の占領統治にフリーメーソンの3s政策を用いたのではなかろうか、と疑いたくなる。(米国の日本占領統治と「菊と刀」は別項で記述する予定)

ここで本多勝一氏(元記者)の著書貧困なる精神〈第21集〉1991年発行 第21集“ドイツからの便り”の一部を紹介しましょう。

いま取材旅行中のドイツでドイツ人の家庭に接してみて、考えさせられることがいろいろある中で、たとえばこんなこともあります。おそらく日本ほどは、ドイツでは「家庭の団欒」が破壊されていないのではないか。とくに夕食のひとときは一家団欒のもっとも重要な機会ですが、それがドイツでは日本よりはるかに大切にされていると思うのです。

−中略−

この一家団欒のときを、日本の多くの家庭ではどうすごしていますか。この問題を考えるとき、私はnhkの「紅白歌合戦」を連想するのであります。大都会育ちの方々にはわからないことでしょうが、私などのような信州の寒村育ちには、大晦日から元旦にいたる時間がほんとうに懐かしいものとして思い出されるのであります。一家総力をあげて正月の飾りつけや餅つきやごちそうづくり。そして夕方からの「お齢取り」たる家庭内大宴会は年最大の「一家団欒」です。

−中略−

重要な点は就学なり旅なり出稼ぎなりで出ていた家族もこのときは必ず帰ってくることです。そのみやげ話や体験談で団欒は一層おもしろいものになるし、白熱する議論ともなる。

−中略−

こういう重要な民族文化を破壊したのは、何といってもテレビの普及です。もちろんテレビという機械ではなく内容なのですが、とくに「紅白歌合戦」という人気番組がひどかった。団欒や議論が佳境にはいる時間帯からこれが始まります。こんなものを見る人間が家庭内の少数派ならまだしも、多数になってくると団欒も議論もシラけてゆく。わが故郷の大晦日の民族(あるいは民俗)文化はかくて破壊され、・・・−中略−

そこで「夕食のひととき」ですが、毎夜の社用のつきあいで夕食には日曜以外に帰れない、といった日本的会社人間は別として、せっかく全員が家にいながら団欒を成立させない犯人がいる。それはプロ野球に熱中する人です。

−中略−

一家に一人でもプロ野球熱中派がいると、もう「一家」団欒にはなりません。まずいことに、この犯人には一家の「主人」がなる場合が多い。かくて「対話のない家庭」とか「家庭内離婚」「断絶親子」に一因ともなっていきます。

引用元 : 貧困なる精神〈第21集〉 (1991年1月4日)

大宅荘一氏が「一億総白痴化」といってから35年後の文である。いずれにしても日本は敗戦後、前述の「3s政策」の結果かどうかは分からないが、「一億総白痴化したのではないか」と思えて仕方がない。

日本人は戦後、ひたすら物質文明を追求し、物欲に明け暮れ、精神文化をかなぐり捨てて、元来もっていた日本の豊かな文化と精神性を退化させてしまったのではないか。

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